VINXニューリテール・コラム
【データセンター閉鎖をチャンスに!】コスト削減やIT環境の最適化を実現する方法とは
はじめに
近年、生成AIの普及やクラウドサービス需要の拡大を背景に、全国各地でデータセンターの新設が相次いでいます。
一方で、その裏側では既存データセンターの閉鎖や統廃合も進んでいます。老朽化や設備更新、運営会社の戦略変更、クラウドシフトなどを理由に、現在利用しているデータセンターが閉鎖されるケースもあるのです。
今回は、実際のデータセンター移転においてプロジェクトマネージャーを担った経験をもとに、センター閉鎖時の対応と、移転を成功に導くためのポイントについてご紹介します。
データセンター閉鎖の主な対応方法は2つ
データセンター閉鎖への対応は、単なる“サーバーの引っ越し”ではありません。機器移設やネットワークの切り替え、契約整理、データ消去など、多岐にわたる作業と判断が求められます。さらに、対応を誤れば、サービス停止や情報漏洩、想定外のコスト増加といった事態につながる可能性もあります。
では、データセンター閉鎖の案内を受けた際には、どのように対応すべきなのでしょうか。選択肢は大きく2つあります。
方法① 事業者から案内された新しいデータセンターへ移転する
もっとも一般的なのが、現在利用しているデータセンター事業者が用意した新しいセンターへ移設する方法です。
同じ事業者であれば、既存契約やネットワーク構成を引き継ぎやすく、移行手順もある程度テンプレート化されていることが多いため、比較的スムーズに進めやすいというメリットがあります。
ただし、“そのまま移せば終わり”というわけではありません。古い機器を移送した結果、「移設後にサーバーが起動しない」「輸送中に障害が発生する」といったトラブルは実際によくあります。
方法② 自社で新しい移転先を探す
もうひとつは、自社で新しい移転先を選定する方法です。「クラウド環境へ移行する」「別のデータセンター事業者へ切り替える」といった選択肢があり、「データセンターで運用していたシステムを廃止する」という方法もあります。
こちらは自由度が高く、自社に最適な環境を再設計できる反面、ネットワーク設計や回線調整、セキュリティ設計など、検討事項は一気に増えます。
特にクラウド移行は、「物理機器の管理から解放される」「拡張性が高い」といったメリットはありますが、設計を誤ると運用コストが想定以上に高くなるケースもあります。
移転は先延ばしにしていた“整理”の良い機会
データセンター閉鎖への対応を進める際に、多くの企業が頭を悩ませるのは、“よくわからない機器”の存在です。例えば、「何十年も動き続けているサーバー」「構成管理図に載っていない機器」「誰の資産なのかわからないネットワーク機器」といったものです。
現場ではよく、「止めて問題が起きたら怖いから、とりあえず残しておこう」という判断が行われます。しかし、その積み重ねによって、不要な機器や使われていないシステムが何年も放置されているケースは珍しくありません。いわゆる“ゾンビサーバー”です。
データセンター閉鎖は、こうした“見て見ぬふりをしてきた資産”を整理する絶好のタイミングでもあります。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。実際には使われていないと思って停止したサーバーが後になって、「実は業務で使われていた」と発覚するケースもあります。
また、データセンター閉鎖には契約上のタイムリミットも存在します。データセンターの契約終了日は絶対であり、機器撤去や原状回復が間に合わなければ、追加費用や違約金が発生することもあります。
もうひとつ見落とされがちなのが、データ消去です。サーバーやストレージを廃棄・返却する際には、内部データを完全に消去し、その証明を行う必要があります。これを怠ると、情報漏洩という重大なセキュリティ事故につながる可能性があります。
重要なのは“泥臭い準備”
データセンターの移転を成功させるために必要なのは、特別な最新技術ではありません。むしろ重要なのは、地道で泥臭い準備です。
まず欠かせないのが、徹底した資産の棚卸しです。「どんなサーバーがあるのか」「誰の資産なのか」「どのシステムで利用されているのか」「どの回線につながっているのか」といった“現状”を洗い出し、「見える化」することが最初のステップになります。
また、意外と時間を要するのがネットワーク回線の手配です。回線によっては、開通まで2〜3カ月以上かかることもあります。新旧環境の切り替えタイミングを誤ると、サービス停止や二重コストの原因になります。
そして、サーバー停止やシステム切り替え時には、バックアップの取得やリストア手順の準備、トラブル発生に備えたリカバリー体制構築、関係者への周知といった準備が不可欠です。
さらに、移設・廃棄・撤去作業は、想像以上にタスク数が多くなります。そのため、WBSやガントチャートだけでなく、日単位で予定を書き込めるカレンダー形式で管理するなど、視覚的に進捗を把握できる運営も非常に有効です。
データセンター移転はコスト削減と業務改善のチャンス
データセンター閉鎖は大変なプロジェクトですが、見方を変えれば、IT環境を最適化する絶好の機会でもあります。例えば、古い環境では、オーバースペックなサーバー、利用率の低い回線、保守切れ間近の機器、役割が重複したシステムなどが放置されていることがあります。移転を機にこれらを見直すことで、主に以下のようなメリットを得られます。
①コスト削減
機器集約やスペックの最適化が可能となり、大きなコスト削減につながります。実際、私がプロジェクトマネージャーを務めたデータセンター移行プロジェクトでは、環境最適化を実施した結果、年間1,000万円以上のコスト削減を実現したケースもあります。
②IT資産管理の仕組み化
これまで曖昧だったIT資産情報を整理できるため、資産管理の仕組みを再構築するチャンスにもなります。
③老朽化した機器の刷新
長年放置されてきた古い機器を一新できるのも大きなメリットです。「まだ動いているから」という理由で延命され続けていた機器も、いずれ保守切れを迎えます。データセンター移転は、システムやインフラ構成を見直し、リプレイスを検討する良い機会と言えます。
おわりに
データセンターの閉鎖に伴うIT資産の整理や移転の進め方に不安を感じている場合は、まず現状を正しく把握し、課題を整理することが大切です。
ヴィンクスでは、これまで数多くのインフラ構築・移転プロジェクトで培ったノウハウを活かし、「なにから着手するべきかわからない」「現在のシステム構成やIT資産をどのように整理すべきか判断に迷っている」といった、検討初期の段階からご相談いただくケースも少なくありません。
データセンター閉鎖は、単なる移転対応にとどまらず、自社のIT基盤を見直す良い機会でもあります。この記事が、今後の方針を検討する際の参考となれば幸いです。
関連コラム「【インフラ構築をDX化!】ヴィンクスが挑むIaC導入とAI活用」を読む
関連コラム「【事業運営に欠かせない必須プロセス!】PCキッティングとは」を読む
 



