VINXニューリテール・コラム

生成AIを小売業の現場に定着させるために!最初に整理すべきこととは?

生成AIを小売業の現場に定着させるために!最初に整理すべきこととは?

はじめに

流通小売業でも生成AIを業務で活用しようとする動きが広がっていますが、IT部門が想定したほどAIが現場で使われないという企業も多いようです。

AIを実際の業務に定着させるためには、なにが必要なのでしょうか。今回は、小売業でAI活用を進めるうえで、最初に整理しておきたいポイントをご紹介します。

AIはどのような業務で活かせる?

AIというと、「質問を入力するとAIが回答してくれるチャット」をイメージする方も多いのではないでしょうか。そのため、「AIチャットが小売業の実際の業務にどう役立つのか、イメージしにくい」という声もよく聞きます。

実際には、AIを社内の情報や業務システムと組み合わせることで、活用の可能性は大きく広がります。例えば、会議の内容について自動で文字起こし・要約を行い、議事録を作成する。店舗スタッフから寄せられる業務上の質問に、社内のマニュアルや規程などを参照して自動で回答する。さらに将来的には、売上や在庫などの業務データと組み合わせ、需要予測や自動発注をより高度化していくことなども、活用法として考えられます。


このように、AIは単なるチャットツールではなく、これまで人が行ってきたさまざまな業務を支援する存在になりつつあります。

現場でAI活用が進まない理由

AIを利用できる環境を整えたものの、「一部の人しか使っていない」「研修を実施しても、日常業務での利用が広がらない」「便利そうだが、どの業務で使えばよいかわからない」といったケースは、なぜ起こるのでしょうか。

AIを業務へ導入する際には、「どの業務で使うのか」「どの情報を使うのか」「誰が使うのか」「AIと人でどう役割分担するのか」といった点を整理する必要があります。

例えば、店舗から本部への問い合わせ対応をAIで効率化したいとします。ひと言で問い合わせ対応といっても、以下のような複数の作業があります。

・質問内容を確認する
・関連するマニュアルを探す
・過去の回答を確認する
・回答案を作成する
・担当者が判断する
・店舗へ回答する

このすべてを一度にAIへ任せる必要はありません。「関連するマニュアルを探す」「過去の回答を確認する」「回答案を作成する」といった作業からAIの活用を始め、徐々に対象範囲を広げていく方法があります。定型的な問い合わせはAIが直接回答し、人は運用状況の確認や例外的な問い合わせへの対応に注力するといった役割分担も考えられます。

このように、業務を細かな作業に分解していくことで、AIを活用できるポイントが見つけやすくなります。「AIでなにができるか」ではなく、業務を分解して整理して「どの仕事をAIに支援してもらうのか」から考える。それが、AIを実際の業務につなげる第一歩です。

AI活用で整理したい3つのポイント

■AI活用に必要な整理



AIを活用する業務が見えたら、次に「情報」「利用者」「運用」の3つを整理します。

①AIが参照する「情報」を整える

AIに社内文書を参照させる場合は、マニュアルや規程、FAQなど、回答のもととなる情報を整理しておく必要があります。

小売業では、店舗、本部、商品部門、情報システム部門など、複数の部門がさまざまな情報を扱っています。情報が複数の場所に分散していたり、担当者個人のノートにノウハウが蓄積されていたりすることもあります。

必要な文書はどこにあるのか。最新版はどれなのか。誰が更新しているのか。AIの導入をきっかけに、こうした情報を整理し、個人が持つ知識やノウハウを組織で活用できる形にしていくのも重要です。

②「誰が使うのか」を考える

同じAIでも、利用する人によって求める回答は異なります。例えば、本部担当者であれば、関連する規程や過去の通達まで詳しく確認したいかもしれません。一方で、店舗スタッフであれば、「今、この作業をどうすればよいのか」を短時間で知りたいこともあります。

そのため、誰が、どの場面で、どのような情報を必要としているのかまで具体的に考える必要があります。

③AIと人の役割を決める

AIの回答をそのまま業務で利用できるケースもあれば、人による確認や判断が必要なケースもあります。例えば、定型的で個別判断を伴わない社内問い合わせであれば、AIが直接回答し、人はその状況を確認する役割を担うことで効率的な運用が可能になります。これに対し、個別の事情を踏まえた判断や例外対応が必要な問い合わせでは、AIが作成した回答案を担当者が確認したうえで回答することが重要です。

このように、すべてをAIへ任せるのではなく、業務の内容やリスクに応じて、「どこまでAIに任せるのか」「どこから人が確認・判断するのか」を決めておくことも、安心してAIを業務で活用するためのポイントです。

小さく始め、活用の幅を広めていく

AI活用では、最初から店舗業務全体やお客様へのサービスを対象にする必要はありません。まずはお客様への影響が生じにくい業務から始めるのがおすすめです。

例えば、会議の議事録作成です。会議の音声をAIで文字起こし・要約して議事録の下書きを作成し、最終的には担当者が内容を確認します。こうした業務であれば、比較的小さな範囲からAIの使い方や精度を試せます。

そこで運用のノウハウを蓄積したら、社内文書の検索・要約、社内問い合わせへの回答支援へ。さらに、店舗スタッフの業務支援、お客様への案内・接客支援へと、段階的に活用範囲を広げていくことで活用の幅を無理なく広げていけます。

■小さく始めるステップ例


最初から完成形を目指すのではなく、小さく試し、結果を見ながら改善を重ねる。そのうえで、少しずつ適用範囲を広げていくことが、現場への定着につながります。

ヴィンクスが提供するAI活用のためのプラットフォーム

ヴィンクスでは、AI活用を支援する流通・小売業向けプラットフォームとしてRetail Brainというサービスを提供しています。

Retail Brainでは、AIチャットをはじめ、社内文書を参照した回答、議事録作成など、日々の業務から取り入れやすい機能を提供しています。


Retail Brainの活用例として、AIコンシェルジュなどの事例も生まれてきています。このAIコンシェルジュは、店舗や商品、サービスなどの情報を参照しながら、お客様からの質問に回答。スタッフの負担軽減と案内品質の向上を支援し、音声やテキストによるやり取りや多言語での案内にも対応しています。




AIコンシェルジュについては、2025年12月にコラムでご紹介しました。その後、2026年春に開催された「リテールテックJAPAN 2026」でも、AIコンシェルジュをはじめとするRetail Brainの具体的な活用方法をご紹介し、来場者の方々から大きな反響をいただきました。



将来は、自動発注の高度化や販促計画の立案へ

Retail Brainの活用は、文書検索や問い合わせ対応、AIコンシェルジュだけにとどまりません。ヴィンクスではこれまで、POSシステム「ANY-CUBE」やMD基幹システム「MDware」などを通じて、小売業のさまざまな業務を支援してきました。

今後はRetail Brainとこうしたシステムを連携させることで、売上や在庫、商品、店舗などの業務データをAIが活用できるようにしていきます。また、データを活用した需要予測や自動発注の高度化、販促計画の立案支援などを実現するための機能拡張も現在進めています。

おわりに

AIを現場で活用するために重要なのは、ツールを導入することだけではありません。まずは自社の業務を整理し、「どの仕事をAIに支援してもらうのか」を考える。そして、情報、利用者、運用を整理したうえで、影響範囲の小さな業務から試していくことが大切です。

ヴィンクスでは、Retail Brainの提供だけでなく、お客様の業務に合わせたAIの活用方法を一緒に考え、情報の整理などもサポートします。業務におけるAI活用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

■Retail Brainについて詳しくはこちら



\このコラムに関連する記事/



関連コラム「【小売業のDXシリーズ】AIエージェントが変える小売の現場」を読む




関連コラム「【生成AIで新たなお買い物体験を!】ヴィンクスが独自開発するデジタルコンシェルジュとは」を読む


 

この記事へのお問合せ

川﨑 亮輔 Ryosuke Kawasaki

AI事業推進室

詳しくはこちら