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【生成AIで新たなお買い物体験を!】ヴィンクスが独自開発するデジタルコンシェルジュとは

【生成AIで新たなお買い物体験を!】ヴィンクスが独自開発するデジタルコンシェルジュとは

はじめに

近年、小売業界では慢性的な人手不足が深刻化し、店舗運営の効率化と顧客体験の向上の両立が大きな課題となっています。

こうした課題を解決するために、ヴィンクスでは生成AIを活用した店舗支援ソリューションとしてデジタルコンシェルジュの開発を進めています。今回のコラムでは、その開発背景から導入効果、そして今後の展望についてご紹介します。
 

デジタルコンシェルジュを開発した背景

流通小売業界は今、さまざまな課題を抱え、大きな転換点を迎えています。多くの小売企業が悩んでいる課題と、それが店舗業務に与える影響は、主に以下のようなものが挙げられます。

■小売業界の課題と店舗業務に与える影響

  • 小売業界が抱える課題
    人手不足の構造化
    • 採用難・定着難により、人手不足が常態化
    • 教育コストも増大
    店舗業務における課題
    人手不足の構造化
    • ピーク時の案内・問合せで、他業務が逼迫
    • 新人/ヘルプの立ち上がりが遅い
  • 小売業界が抱える課題
    顧客価値向上のプレッシャー
    • 価格訴求だけでは差別化が難化
    • 来店体験の小さな摩擦(探す・待つ)が売上に影響
    店舗業務における課題
    顧客価値向上のプレッシャー
    • 接客の質より“対処”が優先されがちになる
    • 説明のばらつきが発生し、クレームにつながる
  • 小売業界が抱える課題
    サービスの高度化・複雑化
    • ルールや運用が増加し、更新頻度も高くなる
    • 情報の分散により、周知/理解の労力がかかる
    店舗業務における課題
    サービスの高度化・複雑化
    • 更新直後は周知が難しく、案内あやまりが発生
    • 店舗・時間差・担当者で品質に差が生まれる

ヴィンクスがデジタルコンシェルジュを開発した背景には、こうした小売の現場の課題があります。限られたリソースの中で安定した接客品質を維持していくために、生成AIを活用していく試みがデジタルコンシェルジュなのです。

デジタルコンシェルジュの機能と効果

デジタルコンシェルジュは、お客様が店舗に設置されたタッチパネル型のデジタル端末に話しかけることで、生成AIが自動回答を行う案内アシスタントです。

利用者はただ話しかけるだけで、知りたい情報を得ることができます。回答内容は本部で一元管理するドキュメントと連携しており、店舗ごとにドキュメントを登録することも可能です。また、情報の更新があった際もデータを修正するだけで即座に反映されるため、案内ミスや説明のばらつきを防ぎ、常に最新の情報でお客様をサポートできます。

また、汎用的なタッチパネルモニターで利用できるため、専用機器の導入などが不要で、コストやスペースの面でもハードルが低い点も特長です。現在は首都圏の店舗で実証実験を進めており、日々の店舗運営にどのような変化をもたらすのか、その効果を検証しています。

活用シーンの一例として、以下のような使用方法があります。

■デジタルコンシェルジュの活用例


お客様が商品の売場を探す際に「〇〇はどこにありますか?」と尋ねると、AIが売場を即座に回答し、売場マップを表示します。これにより、従業員の呼び出し回数が減少するとともに、お客様がスムーズに目的の商品を見つけられるようになります。

このように、一次応対の自動化による業務効率化や案内品質の均一化を同時に実現できる点が、デジタルコンシェルジュの大きな魅力です。デジタルコンシェルジュが小売業界の課題に対して与える影響をまとめると、以下のようになります。

■デジタルコンシェルジュの効果

  • 導入前の課題
    人手不足の構造化
    • 採用難・定着難により、人手不足が常態化
    • 教育コストも増大
    導入後の効果
    人手不足の構造化
    • 一次対応の自動化により従業員の呼び出しを削減
    • 売り場マップ表示でお客様の自己解決率向上
  • 導入前の課題
    顧客価値向上のプレッシャー
    • 価格訴求だけでは差別化が難化
    • 来店体験の小さな摩擦(探す・待つ)が売上に影響
    導入後の効果
    顧客価値向上のプレッシャー
    • 案内品質が均一になり、店舗・時間帯・人により回答のブレを低減
  • 導入前の課題
    サービスの高度化・複雑化
    • ルールや運用が増加し、更新頻度も高くなる
    • 情報の分散により、周知/理解の労力がかかる
    導入後の効果
    サービスの高度化・複雑化
    • 情報の更新内容をナレッジに追加することでどの店舗にも一斉に更新内容を反映でき、案内あやまりを抑制

導入効果と今後の進化

実証実験を実施した店舗では、毎日20人以上のお客様がデジタルコンシェルジュを利用しています。このデータから店舗を訪れるお客様にとって、デジタルコンシェルジュは非常に利用しやすいサービスであることがわかります。

また、流通小売業界の関係者からはデジタルコンシェルジュに対し、「サービスカウンター業務に人を配置しなくて良くなる」「お客様の質問に答えてくれるのは助かる」といった肯定的な声が多く寄せられています。

一方で、現場での実証を通じて、改善すべき課題も明らかになっています。たとえば、回答の情報量の調整や音声認識の精度向上、多言語対応、そして店舗ごとの特色に合わせた機能追加などです。ヴィンクスでは、こうした課題を一つひとつ改善しながら、より実践的で柔軟なAIソリューションとして進化させていく方針です。

今後の展望としては、販売促進やイベント支援など、店舗のマーケティング活動にも活用できる機能の搭載を検討しています。例えば、お客様の冷蔵庫にある食材やその日の特売商品をもとに、おすすめのメニューやレシピを提案するような機能も実現したいアイデアのひとつです。生成AIならではの柔軟な対話能力を活かし、店舗をより楽しく、魅力的な空間へと進化させることを目指しています。


さらに、将来的にはクラウド上でのデータ共有によって、複数店舗間で情報を統合管理できる仕組みづくりも視野に入れています。これらにより、商品情報やキャンペーン告知の一括更新も可能になります。

デジタルコンシェルジュの未来には、さまざまな可能性が広がっています。その可能性を模索し、より高機能で利便性の高い案内アシスタントへとデジタルコンシェルジュを進化させていきます。

おわりに

生成AIを活用したデジタルコンシェルジュは、単なる業務支援ツールにとどまらず、お客様にとっての“新しいお買い物体験”を生み出す存在でもあります。店舗を訪れたお客様に対して、AIを介した自然な会話で利便性と楽しさを提供し、同時に「先進的な店舗」というブランドイメージを訴求できます。

ヴィンクスでは、今後も実証実験で得られた知見をもとに改善を重ねていきます。デジタルコンシェルジュにご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。




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辻 晃佑 Kousuke Tsuji

特定顧客第2事業本部
店舗開発部
第1課

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