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【リスキリングも必要に!?】AI化の時代に流通小売業はどう変わる?

近年のAIの発展は目覚ましく、すでに生活やビジネスでも幅広く活用されており、その話題を聞かない日はほとんどないくらいです。今回のコラムでは、社会のAI化が進むなかで、流通小売業の業務や従業員の働き方がどのように変化していくのかを考察します。
AIが進むと小売業はどのように変化するのか
AI研究はすでに70年以上の歴史を持ち、現在の生成AIによって第4次ブームが起きていると言われています。
この第4次ブームの大きな特徴は、従来の「研究対象としてのAI」から、「使えるAI」に進化を遂げていることです。その結果、さまざまな分野にAIが浸透してきているのです。
そして、今後の進化&普及も見据え、AIによって流通小売業には以下のような変化が訪れると言われています。
実は、こうしたAI活用によって業務は効率化されますが、従業員の仕事が“楽になる”とは言い切れません。店舗業務のあり方が大きく変化し、従業員にはより高度なスキルが求められるようになると言われています。
そうした業務の高度化に対応するためには、流通小売業の企業は主に以下の2つの対策が必要になるでしょう。
店舗業務の再設定(再定義)が必要に
アメリカで生まれた小売業の経営手法であるチェーンストア理論には、店舗オペレーションの3原則が定められています。日本の流通小売業でも、この3原則をもとに店舗オペレーションを定め、従業員への教育を行っている企業も多いのではないでしょうか。
この3原則をもとに定めた店舗オペレーションや社員教育の方法も、AI化にともなって更新が必要になってくるはずです。AIをどう店舗業務に組み込むのかを考え、業務オペレーションを再設定する必要もあるのです。
現在、ヴィンクスではChatGPTを小売業向けにブラッシュアップしたDMS(Document Management System)を開発中ですが、このDMSに対してお問い合わせが多数寄せられています。それだけ流通小売業でも多くの企業がAI活用についての試行錯誤を行っていると考えられます。
AI活用のために従業員へのリスキリングを
AIが小売業に浸透することで、店舗での業務が自動化・効率化されるため、従業員にはより付加価値の高い業務や高度な顧客サービスが求められるようになります。従来の単純作業はAIに取って代わられ、従業員が行う必要はなくなるのです。
一方で、AIが店舗業務を自動化・効率化するとはいえ、もちろん万能ではありません。
例えば、AIは仕入れ価格や販売計画を策定してくれますが、その精度を高めるためにはそのときどきの店舗の周辺環境を分析条件に加えるなど、従業員が手を入れてAIを使いこなさなくてはならないのです。

こうした“AIを使いこなせる人材”を育成するために、今後必要となってくるのが従業員のリスキリングです。
①AIに関する理解を促進する教育
AIが果たす役割とその限界を示し、人が使いこなす必要があることを理解してもらいます。また、AIを信頼して前向きに活用する文化を社内に醸成し、AI導入に対する抵抗感を払拭します。
②AI/自動化ツールの使い方の教育
AIを活用した在庫管理や自動発注、カスタマーサービス、価格設定などを現場で行えるように、ツールやアプリケーションの具体的な活用方法/操作方法を理解してもらいます。
③データリテラシーを高める教育
AIが生成するデータや分析結果を読み取り、店舗業務に活かすためのデータリテラシーを従業員に養ってもらう必要があります。
リスキリングにおいては、「AIで業務を効率化するスキル」だけでなく、「AIで顧客サービスの質を高めるスキル」を養うことも大切です。AI化が進むほどサービスの高品質化には従業員の果たす役割がより重要になるため、その役割を担うためのスキルを磨かなくてはならないのです。
社内のリスキリング体制を整えるにあたっては、継続的に学習できるeラーニングやオンライン研修のプログラムを用意することをおすすめします。こうした体制を整えておくことにより、従業員は新しい技術や知識をいつでも学べます。
また、AIをはじめとしたテクノロジーの進化は速いため、定期的にツールやトレンドに関する教育を実施しなくてはなりません。そうした継続的なスキルアップが可能となる環境を整えるのも重要です。
おわりに
AI化によって生じる小売業の変化と、その対応について今回はご紹介しました。
AIをいかに活用できるかは今後の成功の鍵になると思われるため、この記事が少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
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