VINXニューリテール・コラム
【キャッシュレス決済の課題】 カードの不正利用を防ぐ生体認証とは?
以前のコラムでは、キャッシュレス決済の動向とセルフレジの導入についてご紹介しました。今回のコラムでは、最新のキャッシュレス決済の動向を踏まえ、近年注目を集めている生体認証についてお伝えしていきます。
キャッシュレス決済の動向と課題
コロナ禍で大きな注目を集め、利用者数が伸びたキャッシュレス決済。
経済産業省が算出した上のグラフを見るとわかるように、現在でもキャッシュレス決済利用者の比率は伸び続け、約4割にまで達しています。
そして、キャッシュレス決済のなかで最も利用されているのがクレジットカードでの決済。
2023年においては、キャッシュレス決済のうちの83.5%がクレジットカードとなっています。一方で、クレジットカード決済の増加に伴う問題も浮き彫りになっています。
上の推移表を見ておわかりになるとおり、クレジットカードの不正利用による被害は増え続け、2023年には540億9,000万円にも達しています。こうした不正利用への対策は、今後の重要な課題と言えます。
今注目される生体認証とは?
海外ではAmazonが手のひらをかざすだけで決済できるサービス「Amazon One」を2023年に開始し、日本国内のスーパーマーケットでも2024年4月に専用装置に指をかざすだけで決済できるセルフレジを導入するなど、生体認証を使った決済システムは普及が始まりつつあります。
決済システムでの活用が進んでいるのは、指静脈による生体認証です。
照合によって本人を拒否する確率はわずか0.01%以下、他人を誤って本人と認識してしまう確率は0.0000016%以下と、高い精度を誇ります。クレジットカードやスマートフォンのように盗難されたり複製されたりするリスクもなく、ID・パスワードのように流出することもありません。
生体認証はFIDO(ファイド)という新しい認証技術を採用しています。
このFIDOは国際的に標準化が進む技術で、デバイスで読み取った生体情報(指静脈)を秘密鍵で暗号化してサーバー側に送り、サーバー側に保存してある公開鍵を用いて認証を行うもの。社会のICT化に伴ってパスワードよりも安全な認証システムが求められているなかで誕生した技術です。
また、生体認証による決済には、セキュリティ面以外にも以下のようなメリットがあります。
① 効率的な決済が可能
カバンからスマートフォンを取り出したり、お財布からクレジットカードや現金、ポイントカードなどを取り出したりする必要がないため、短時間で決済を終えることができます。静脈情報の登録時に年齢認証を行っておくことで、アルコールやタバコ類を購入する際の年齢確認が不要になるため、セルフレジの運用負荷も軽減します。
② 確実に決済が可能
クレジットカードやスマートフォン、現金などのように、自宅に忘れてしまうことがありません。そのため確実に決済でき、小売店としては購買機会のロスを防げます。
生体認証決済の普及に向けての課題
2024年のリテールテックジャパンにおいても、生体認証に関する技術を展示しているブースが多かったことから、今後は生体認証が国内の小売店にも普及していくことは間違いないと思われます。
しかし、現時点では生体認証決済の普及には課題もあります。
【主な課題①】生体情報の登録に対する抵抗感
生体認証で決済を行うには、事前にお客様に生体情報を登録していただく必要があります。
指静脈の登録は顔や指紋に比べて抵抗感が少ないと言われていますが、氏名や住所を申込書に記入いただくのと同様の感覚で登録いただけるようにならないと、なかなか普及は進まないと思われます。
【主な課題②】システム導入費用の負担
生体認証決済のシステムを導入するには、指静脈を読み取るデバイスやシステム改修の費用が必要となります。
現時点では、こうした導入費用をクレジットカード会社などが負担する仕組みが確立していないため、QR決済のように小売店側は容易に導入することができません。
上記のような課題はありますが、クレジットカード会社などの決済事業者が主体となって、こうした課題は解決されていくと私たちは考えています。今後数年をかけて、日本でも生体認証決済が一般的になっていくでしょう。
おわりに
今回は生体認証決済システムについてご紹介しました。
私たちヴィンクスは、リテールテックジャパン2024で生体認証決済システムPOSを参考出展しており、市場の変化に備えた取り組みを始めています。
生体認証決済の導入にご興味がございましたら、ぜひヴィンクスまでご相談ください。
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