VINXニューリテール・コラム
POSシステム導入プロジェクトを成功に導くポイントとは
現在では小売業にとって不可欠な存在となっているPOSシステム。業務改革やコスト削減、データ活用またはシステムのライフサイクルに合わせた刷新を目的として、POSシステムの入れ替えや新規導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、導入プロジェクトの成功に繋がる、導入時に気をつけなければいけないポイントや、近年のPOSの特性を交えたヴィンクスの導入の進め方をご紹介します。
店舗業務を効率化し、販売データの分析・活用なども可能にしてくれるPOSシステムは、小売業の力強い味方と言えます。しかしその一方で、導入には様々なハードルが存在するのも事実です。
まずここでは、POSシステムの導入時に気をつけなければいけないポイントを3つご紹介します。
ポイント① プロジェクトの目的を正しく理解し、回帰できているか
POSシステムの導入の目的はお客様によって異なりますが、業務改革やコスト削減、システムライフサイクルに伴う刷新がよくあるケースとなります。こういった“目的”についてはプロジェクトの上流工程(特に要件定義フェーズ)では強く意識されますが、以降の工程では前工程の成果物を元にタスクを推進していくため、目的との紐づけが徐々に希薄になっていきます。
この時、プロジェクトの目的に回帰して各工程の成果物や課題に対してアプローチを行うことが非常に大切です。ある視点では問題なかったとしても、プロジェクトの目的とずれてしまう、もしくはベストなソリューションになっていない可能性があるためです。
これには、システムベンダーがお客様のプロジェクトの目的を正確に理解し、適時・適切に目的の回帰を行いながら各工程を推進していくことが重要だと考えています。
ポイント ② ユーザー部門のプロジェクト参画の考慮ができているか
POSシステムを実際に利用するのはユーザー部門の方々です。ユーザー部門の方々は通常業務があるため、POSシステム導入のために時間を割いていただくことが難しく、調整に苦慮するケースがよくあります。
しかし、ユーザー部門のプロジェクトへの参画が不十分な場合、現場が求める機能や操作性にギャップが生まれることがあります。これらが積み重なると、POSシステム導入に対するユーザー部門の満足度低下、もしくは業務効率化に繋がらない結果となってしまう可能性も考えられます。
これには、ユーザー部門の方々にもプロジェクトに参加してもらい、ニーズを汲んだ仕様の決定及び合意を行うことで、本来の目的に沿った形で店舗でも使いやすいシステムを導入することができると考えています。
ポイント③ステークホルダーの役割分担が明確になっているか
POSシステムの導入プロジェクトの立ち上げ期においては、ベンダーや基幹システムベンダーやその他ベンダー、そしてお客様がそれぞれマネジメントする作業領域があらかじめ明確になっていないケースが少なからず発生します。
例えば、システムテストフェーズにおいて、POSシステムと基幹システム側で行う計画および準備(環境構築、テストシナリオ作成の役割分担、テストデータ作成パターンの整理、テスト実施時の体制、テスト結果の妥当性判断方法、等)が不足すると後々大きな問題が発生します。また、その対応が後手に回ってしまうと、最悪の場合スケジュール遅延に至ってしまう可能性も考えられます。
このようなことが発生しないよう、プロジェクト内のすべてのステークホルダーの各フェーズの役割分担とその中身の確認を要件定義フェーズもしくは、計画段階ですり合わせしておくことが肝要です。
POSシステムの導入を考える際、近年のPOSシステムの特性や取り巻く状況について、大きく2点取り上げていきたいと思います。
① 近年のPOSの利用者はスタッフだけではない
セルフレジ登場から約20年、セミセルフ登場から約13年が経ち、一般消費者がPOSレジを操作するシーンは一般的になりました。また、ここ数年ではコンビニ等で対面型のセルフレジも登場し、小型店舗においても一般消費者が操作するシーンは広がりを見せています。システムの利用視点から見ると、POSシステムは業務システムとしては珍しい、「店舗スタッフと一般消費者の方が同じ道具を使用する」という特徴を持ったシステムと捉えられると思います。
一般消費者に対してはレジ教育をすることはできないため、初めてそのお店を訪れた一般消費者が、初見で操作可能なPOSシステムが必要な時代になってきています。
② POSシステムと連動するシステムの増加
昨今、POSシステムと連動するシステムは増加しています。
バーコード決済を中心とするキャッシュレス決済連動がトレンドになっていますが、それ以外にも、ほぼ連動必須となる顧客管理システムやポイント管理システム、お客様によっては免税システムやそれに付随する周辺機器との連携が必要です。
またPOSセンターサーバーについても、基幹システムやDWH、ECシステムなど多くのシステムと定期的にデータ連携を行います。
多数のシステム連携先があるということは、POSシステムが多くの業務に関わっているということになります。POSシステム導入の際は、事前に関連システムの洗い出しを行った上で、関連する業務影響範囲を押さえること、また発生しうる課題をステークホルダー間で調整していくことが大切です。
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前述のポイントと近年のPOSシステムの特性や取り巻く状況を踏まえ、導入プロジェクトを円滑に進めるためにはどうしたらいいのでしょうか?
ヴィンクスが行うPOSシステム導入プロジェクトの進め方の一例をご紹介します。
進め方① お客様側のプロジェクト体制推進
ヴィンクスが行うPOS導入プロジェクトでは、お客様のシステム部門のみならず、業務改善を行う部署・店舗が所属する部署・レジ教育を主に担当される方もプロジェクトに参画いただけるようお願いしております。
その際、プロジェクトの目的と照らし合わせて、それぞれの領域でご判断いただく役割を認識いただき、お客様内でご調整をいただきます。
ただし、通常業務でお忙しい方々となるため、予め「どの期間で」「どの目的で」「どれくらいの頻度で」打ち合わせをいただくか、また、決めていただく内容をお伝えした上でスケジュール調整をしていきます。
基本的に要件定義の段階から参加していただきますが、要求事項の整理、要件のヒアリングおよび、業務フロー、レジ画面の遷移、操作フロー等に関し業務改善の視点(スタッフの視点)と一般消費者の視点、周辺システム側で行う業務など多角的なご意見をいただき、情報整理および調整をしていきます。
また、新しいPOSシステムを導入する時に必ず検討が必要な「各店舗スタッフへの教育」についても複数ご提案をさせていただき、お客様にとっての最善策がいずれになるか、意見交換させていただきます。以下はテーマの一例となります。
・教育方式の検討(店舗で教育する部分、マニュアル動画で教育する部分の切り分け)
・教育環境の準備(教育用のレジ機器について、調達台数や各店舗への展開方法の決定)
このように、お客様にもご協力いただきながら準備を十分に行うことで、スムーズなシステム導入に繋がると考えています。
進め方② 適切な計画と丁寧な調整を重ねてプロジェクトを推進
前述の通り、POSシステムと連動する対向システムは多数あります。POSシステムを導入する際、それぞれの対向システムの役割を再確認した上、システムベンダーに対応依頼する内容の整理を行います。
この内容を以て、お客様を含め、プロジェクトの各工程における役割分担の調整と認識合わせをさせていただき、その結果をインプットに以降の工程の計画へ反映をしていきます。計画策定の際は、プロジェクトの目的の評価方法をお客様と協議の上、組み込みをしていきます。
各工程のタスクは、策定した計画に基づき実行していきますが、プロジェクト実行中は様々な要因により、計画の補正が必要となることが常です。それらを調整するための時間のマスタスケジュールへの組み込み、およびタスク化を行い、必要なタイミングで対処ができるように調整を適宜行います。
また、プロジェクト実行中は、各工程で大小さまざまな課題が発生することがあります。課題の対処にあたっては、課題の内容によってプロジェクトの目的に沿った解決策を検討し、お客様と合意をした上で進めていきます。
POSシステム導入を成功に導くポイントについて、ヒントになったでしょうか。
私たちヴィンクスはPOSシステム「ANY-CUBE®」の導入結果をお客様の期待値以上にするため、成功に導くポイントを押さえながら、お客様に応じたプロジェクト推進を心掛けております。POSシステムの導入などについて、ぜひお気軽にご相談ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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