【小売業のDXシリーズ】世界の小売業を牽引!アメリカのスーパーマーケット | 竹内 雅則 | VINXニューリテール・コラム | 株式会社ヴィンクス| 流通小売業向けシステム

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【小売業のDXシリーズ】世界の小売業を牽引!アメリカのスーパーマーケット

【小売業のDXシリーズ】世界の小売業を牽引!アメリカのスーパーマーケット

はじめに

流通小売業界のデジタル活用に関する情報をお届けしている【小売業のDXシリーズ】。今回は、小売業のDXを深く理解するためにぜひ押さえておきたい、アメリカのスーパーマーケットについての情報をご紹介します。

小売業の世界勢力図とアメリカのスーパーマーケット


世界の小売業の売上高ランキングを見ると、10位までのうち7社がアメリカの企業です。1位にウォルマート、2位にAmazon、3位にコストコと、みなさんがご存知の企業が上位を占めています。日本の企業はセブン&アイホールディングスが15位、イオンが17位にランクインしていますが、このランキングを見るとアメリカの企業がいかに世界の小売業を牽引しているかがわかります。


次に、アメリカのスーパーマーケットの顧客満足度ランキングを見てみると、ここにもお馴染みの企業が多数ランクインしているかと思います。このコラムでは、ランクインしている企業のなかから、ぜひ知っておいていただきたい5つのスーパーマーケットについてご紹介します。

①トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)


最初にご紹介するのはトレーダー・ジョーズです。カリフォルニア州に本社を置くスーパーマーケットで、オーガニック系の食品を中心に高級志向の商品を取り扱っています。ブランドイメージが高く、日本でもトレーダー・ジョーズのエコバッグが人気になったことがあります。


また、トレーダー・ジョーズで販売されている商品の大半は、プライベートブランドです。プライベートブランドなので、オーガニック食材などの付加価値の高い商品がリーズナブルに購入できます。さらには、プライベートブランド※1は利益率が高いため、従業員の待遇が良くなり、最終的に顧客サービスの向上にもつながっています。そうした点が顧客満足度1位の要因になっていると考えられます。

※1:小売店や卸売業者が企画・製造し、独自のブランドとして販売する商品。

②ウェグマンズ(Wegmans)


続いてご紹介するのは、ニューヨーク州に本社を置くウェグマンズです。大規模店に多種多様な商品を販売しています。


例えば、こちらの左上の写真は牡蠣です。真ん中の上の写真は日本語で「ハマチ」と書かれています。他にもお鮨などもあり、他では販売されていない商品を多く取り揃えることでお客様に支持されているスーパーマーケットです。

③ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)


次は、テキサス州に本社を構えるホールフーズ・マーケットです。2017年にAmazonが買収して世界的なニュースになったのをご存知の方も多いかと思います。

ホールフーズ・マーケットは自然食品やオーガニックフーズのスーパーマーケットとしてお客様からの信頼を獲得していますが、Amazonの技術力を活用した先進的な取り組みも積極的に推進中です。例えば、BOPIS※2への対応やJust Walk Out※3の試験導入が行われています。

※2:ECで購入した商品を実店舗で受け取ることができる仕組み。
※3:棚から商品を取って退店するだけで、レジを通さずに自動的に会計が済まされるAmazonの自動決済技術。ホールフーズ・マーケットの2店舗で試験的に導入されている。

 

 


左上の写真は、Amazon Primeと連携したさまざまなサービスがあることをお知らせする看板です。そして右上の写真は宅配ボックスのような設備で、Amazonで注文したサービスをここで受け取ることができます。右端の写真はインターネットで注文された商品を忙しくピックアップしている店員を撮影したものですが、それだけアメリカではBOPISが広く浸透しています。

④ガーデン・オブ・エデン(Garden of Eden)


次にご紹介するのは、ニューヨークで人気を得ているガーデン・オブ・エデンです。わずか3店舗しかなく、それぞれの店舗規模も大きくないスーパーマーケットなのですが、ヨーロッパの屋外市場をイメージした売場には1万点以上の商品を販売しています。


店内の様子を見てみると、非常に凝った演出がなされ、ナチュラルな雰囲気の売場となっています。そうした店内の雰囲気と農産物を中心とした高級志向の商品が調和し、お客様に独特の購入体験を提供しているのです。

⑤スチュー・レオナルド(Stew Leonard’s)


最後に、ニューヨークとニュージャージーに7店舗を出店しているスチュー・レオナルドをご紹介します。ニューヨーク・タイムズに「デイリーストアのディズニーランド」と評されるユニークな売り場が人気のスーパーマーケットです。


左の写真は西部劇に出てきそうな井戸のオブジェです。真ん中の写真には、大きなロブスターの模型が写っています。


こちらも店内の様子を撮影した写真です。カメラ&モニター(左下の写真)や、ボタンを押すと動き出すバナナのオブジェ(右下の写真)など、子どもが喜ぶ仕掛けもあり、家族で楽しめるスーパーマーケットであることがわかります。

アメリカの小売業の成長率


アメリカの小売業について整理するためにも、Amazonとウォルマート、そして今回ご紹介したトレーダー・ジョーズの成長率をグラフにまとめました。これを見ると、Amazonが圧倒的な成長率を誇っていることがわかりますが、一方でウォルマートも年平均で6%も成長しています。

顧客満足度で1位を獲得したトレーダー・ジョーズでも3.8%と、Amazonやウォルマートと比べて成長率で見劣りしているのは、ECの売り上げやECとの連携の差と言われています。店舗での高品質な商品&サービスの提供がベースになりつつも、大きく成長しようと考えればECやBOPISの推進が不可欠となっていることが、このデータからもわかります。


おわりに

アメリカのスーパーマーケットでは、世界に先駆けてさまざまな試みが行われています。小売業の未来を見据える上でも、今後もアメリカの動向に注目していただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。





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竹内 雅則 Masanori Takeuchi

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