VINXニューリテール・コラム
【義務化を効率化のチャンスに!?】年末調整手続きの電子化
はじめに
年末調整のご担当者の方は、現在は手続きが一段落し、ようやく通常業務に戻りつつある時期ではないでしょうか。毎年のこととはいえ、申告書の回収や確認、修正対応、法定調書の作成・提出までを含めると、年末調整は人事・給与担当者にとって大きな負担となる業務です。
こうしたなか、国税局の方針として年末調整手続きの電子化が進められています。e-TaxやeLTAXといった電子申告基盤の整備により、申告・提出・控えの保管までをデジタルで完結できる環境が整いつつあり、紙中心だった業務フローは大きな転換期を迎えています。
今回のコラムでは、年末調整の法定調書の提出、および従業員の手続きの2つの電子化についてご紹介します。
義務化が進む法定調書提出の電子化
法定調書(源泉徴収票、支払調書など)の提出については、すでに電子化が段階的に義務化されています。現在、提出枚数が100枚を超える場合はe-Taxなどによる電子提出が必須となっており、さらに2027年には30枚以上の法人にも義務化が拡大される予定です。
■法定調書提出の電子化の流れ
これにより、これまで紙で提出してきた企業でも、電子提出への対応が避けられなくなっています。そして、対象は国税だけではありません。地方税分はeLTAX、社会保険・労働保険関連はe-Govと、各行政手続きにおいて電子化が同時並行で進んでいます。
現在、法定調書の主な電子提出の方法は以下の3つです。自社が義務化の対象になった場合には、いずれかの方法を選択して電子提出を行う必要があります。
①e-Tax
国税庁が提供する電子申告・納税システムを使用し、インターネット経由で直接提出できます。
②光ディスクなど
CDやDVDといった記録媒体で税務署へ提出する方法です。
③クラウドサービス
国税庁が認定したクラウドサービスを活用することでも提出できます。
従業員による手続きの電子化は業務効率化のチャンス
■従業員の手続きを電子化する3ステップ
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1.準備
控除証明書等を
データで取得
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2.作成
申告書を
データで作成
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3.提出
勤務先に
データで提出
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法定調書の提出だけでなく、従業員の年末調整の手続きを電子化できる環境も整ってきています。そして、年末調整のご担当者が大きな効率化を実感しやすいのが、この従業員による手続きの電子化です。
アルバイト・パートを含め多くの従業員を抱える流通小売業では、年末調整業務が煩雑になりやすく、「書類の配布・回収」「記入漏れや誤記の確認」「差し戻し対応」といった作業が発生し、ご担当者に負担が生じてしまいます。そのため、電子化による業務効率化の効果は非常に大きいと言えます。
効率化できるポイントとしてはまず、従業員が控除証明書等をデータで取得し、そのまま申告書を作成できるようになることが挙げられます。これにより、紙の証明書を保管・提出したり、内容を手書きで転記したりする必要がなくなり、従業員の手間が大幅に軽減されます。書類不備による差し戻しも減り、手続き全体がスムーズになります。
また、従業員が提出したデータを、そのまま企業側が利用して年税額の計算を行える点も大きなメリットです。手入力や転記作業が不要になることで、入力ミスや確認作業を減らすことができ、作業効率の向上につながります。結果として、年末調整業務にかかる企業側の負担も確実に軽くなっていきます。
このように、年末調整手続きの電子化は、単なる作業のデジタル化にとどまりません。企業・従業員双方の利便性を高め、年末調整業務そのものの質を向上させる大きな一歩と言えるでしょう。
手続きの電子化に必要なこと
■手続きを電子化するための条件
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企業
データ連携に対応した
給与/年末調整システム -
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従業員
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マイナポータル連携◆ マイナポータル連携を利用する為にマイナンバーカードとマイナンバーカード読み取り対応のスマホまたはICカードライタが必要
◆ 国民年金は10月中旬までの設定が必要
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保険会社連携◆ 全ての保険会社が対応している訳ではない
◆ 保険会社によって電子交付開始時期が異なる
◆ 電子データ利用を選択すると翌年以降、紙のハガキが届かない場合がある
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年末調整手続きの電子化を進めるうえで、いくつか押さえておくべきポイントがあります。まず重要なのが、給与システムや年末調整システムが電子化に対応していることです。システムがマイナポータル連携や保険会社とのデータ連携に対応していなければ、従業員の手続きを電子化することはできません。
さらに、従業員側の課題もあります。マイナンバーカードの取得は個人の任意であるため、すべての従業員が電子化に対応できるとは限りません。電子化への移行を進めるためには、マイナンバーカードの取得案内やマイナポータル設定のサポートも必要になってくるでしょう。
また、保険会社によって電子控除証明書への対応状況や開始時期が異なるため、非対応の保険に加入している従業員は手続きの電子化を行うことができません。
そのため、企業としては一気に完全な電子化を目指すのではなく、紙と電子が混在する前提で、無理のない業務フローを設計することが現実的な対応となります。
しかし実際には、「既存の給与システムがどこまで電子化に対応しているのかわからない」「マイナポータル連携や保険会社連携の設定が複雑で進められない」「制度改正への対応をどこまで自社で担うべきか判断が難しい」といった声も多く聞かれます。
特に、複数の店舗・多数の従業員を抱える企業では、システム改修に加えて現場オペレーションの見直しや従業員への周知・教育までが必要となり、自社内だけで対応することが難しいケースも少なくありません。
ヴィンクスでは、こうした課題を持つお客様に対して、システム構築と運用設計の両面から支援しています。単に電子申告に対応するためのシステム設定を行うだけではなく、現行業務の整理、電子化後の業務フロー設計、各種連携の環境構築、そして運用定着までを一貫してサポートします。
大手流通小売業グループの給与システム保守・運用を長年担ってきたノウハウを活かし、制度改正への迅速な対応や、eLTAX環境構築などの専門的な支援も可能です。電子化の制度理解から実務への落とし込みまで伴走することで、お客様様の負担を最小限に抑えながら、電子化への確実な移行をサポートします。
おわりに
年末調整や法定調書提出の電子化の流れは、今後も進んでいくことが確実です。義務化への対応という側面だけでなく、業務負荷の軽減などのメリットも見逃せません。
一方で、制度や仕組みを正しく理解し、自社に合った進め方をしなければ、かえって現場の混乱を招いてしまう可能性もあります。年末調整業務の電子化は「システムの問題」だけではなく、「業務設計」「従業員対応」「制度理解」が複雑に絡み合うテーマであるため、トラブルが生じやすいという問題もあります。ヴィンクスでは、年末調整の電子化を検討されている企業様を、システム・運用の両面からサポートしています。電子化をお考えの際には、ぜひご相談ください。
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