VINXニューリテール・コラム
コロナ禍でのEC業界の成長と変化
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によってEC業界は大きく変化し、デジタルチャネルへの移行が加速しました。この記事では、コロナ禍におけるEC業界の変化や、ECを成功させるために必要なデジタル体験についてご紹介します。
まずはコロナ禍の中でEC業界にどのような変化が生じたのかを見ていきましょう。上のグラフはECの収益成長率(売上成長率)とトラフィック増加率を表したものです。
新型コロナウイルスの感染拡大前からいずれも20%前後の伸び率を示していますが、注目していただきたいのはコロナ禍が始まった2020年の1クオーター以降です。伸び率が急上昇しているだけでなく、収益成長率がトラフィック増加率を上回っています。
この結果からは、コロナ禍以前はインターネットで商品を検索・検討して実店舗に出向いていたお客様が、ECでそのまま購入する確率が高まっていることがわかります。商品の検索から購入までの購買活動を、すべてインターネット上で完結する消費者が増えているのです。
また、2020年2クオーターにいたっては、トラフィック増加率が約50%、収益成長率が約70%となっており、消費者の購買活動がデジタルチャネルやECに急激に移行したことが見て取れます。
次に、コロナ禍において商品の行動がどのように変化したのかを見てみましょう。上のグラフでは、さまざまな行動に費やす時間がコロナ禍によってどのように変化したのかを表しています。
みなさんも実感されているかと思いますが、インターネット関連の行動が増加しています。オンラインショッピングが39%増加し、インターネットのブラウジングやソーシャルメディアの利用、ビデオの視聴にいたってはいずれも45%を超えています。
一方で、実店舗のショッピングについては、56%もコロナ前より減少しています。こうしたデータからも、小売業の売上がECへ移行する流れが加速していることがわかります。
では、ECでの販売に成功している企業がどのような施策を実施しているのかを見ていきましょう。上のグラフからもわかる通り、ECのパフォーマンスが高い企業の66%が、実店舗での対面販売を補完するためにデジタル体験を提供しています。
そして、どのようなデジタル体験を提供しているのかを示したのが下のグラフです。
オンラインイベント(Instagram Liveなど)が58%、ライブチャット/ライブビデオが73%となっており、こうしたデジタル体験の提供を多くの企業が行っているようです。また、VR(仮想現実)やAR(人工現実)を提供している企業もあります。
こうしたデータからわかるのは、ECに成功している企業は単にECチャネルを強化するだけでなく、さまざまなデジタル体験を提供していることです。デジタル体験の強化が、ECの成功につながっているのです。
最後に、ECを強化するにあたって、どのような分野に投資していけばよいのかを見ていきましょう。
上のグラフは、ECのパフォーマンス別に、コンテクスチュアルコマースへの投資額の増減について示しています。ECのパフォーマンスが高い企業ほど、コンテクスチュアルコマースに積極的に投資しています。
コンテクスチュアルコマースとは、SNSやアプリなどのあらゆるチャネルから商品を購入できる環境を提供すること。ECが好調な企業ではSNSやアプリなどにも購入ボタンを設置することで、購入コンバージョンを向上させているのです。
投資を行っているテクノロジーについても具体的に見ていきましょう。
ECに成功している企業では、ソーシャルプラットフォームや音声プラットフォーム、ライブストリーミングなど、多様なテクノロジーへ投資を行っていることが、上のグラフからわかります。
また、お客様の接点となるテクノロジーだけでなく、それらを支えていくコンテンツ管理にも多くの企業が投資を増やしているようです。
今回の記事では、ECに成功している企業は、デジタル体験の提供に力を入れていることをご紹介しました。コロナ禍によって消費者の行動が大きく変わった中で、デジタル体験を提供することによってお客様との接点を創出しているのです。
ヴィンクスでは、ECサイトはもちろんのこと、デジタル体験の提供も支援しています。オンライン接客やSNSによるデジタルマーケティング、アプリ開発など、私たちがサポートできる領域は多岐にわたります。デジタル体験の提供をお考えでしたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。