【小売業のDXシリーズ】AIが実現する小売業のDXとは? | 竹内 雅則 | VINXニューリテール・コラム | 株式会社ヴィンクス| 流通小売業向けシステム

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【小売業のDXシリーズ】AIが実現する小売業のDXとは?

【小売業のDXシリーズ】AIが実現する小売業のDXとは?

はじめに

小売業のDXにおいて欠かせないのが、近年大きな進化を遂げている「AI」です。
今回は『小売業のAI活用』について具体的な事例も交えてご紹介させていただきます。

 

AIが小売業に多様な変革をもたらす

AIを活用する上で必要になるのがビッグデータです。お客様の購買履歴や属性・商品の価格・天気予報・近隣でのイベントなど、さまざまな情報を収集・蓄積し分析×活用することで、「小売業のDX」を推進することが可能になります。

 


 

従来は、統計分析・回帰分析などの様々な手法で単なるデータを“意味ある情報に変えていく”ということが行われてきたわけですが、昨今ではマシンラーニングやディープラーニングといったAI技術が劇的に進化しており、「より精度の高い情報分析ができる」という環境が整ってきています

では、AIによる分析で、小売業ではどういった分野でDXが可能になるのかを見ていきましょう。

 

AIが活用できる小売業の業務

 


 

■ 店舗・商品開発
商品開発や品揃えの最適化にくわえ、「どの地域に出店すべきか」や「出店した場所でどれだけの来客が見込めるか」を分析し、商品・出店開発の投資を最適化。

■ 生産・仕入
発注や棚割りの最適化、そして需要に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングなどを実現できます。ダイナミックプライシングによって価格と利益の最適化を実現し、販売機会ロスや在庫リスク・フードロスを軽減。

■ マーケティング
ターゲットの詳細化・明確化が容易になり、販促コンテンツやその送出タイミングがAIによって最適化され、より効果的で効率的なマーケティング施策が実現。

■ 接客・販売
個々のお客様のペルソナ推定精度が高まり、個別のニーズに合致するコンシェルジュサービスを提供。
来店客数予測の精度向上によって、店舗スタッフのシフト最適化を実現。

 

このように、さまざまな小売業の業務分野で「AIが活用され始めている」のが現在の状況となります。


 

小売業でのAI活用は、すでに実用化段階に

AIを活用した小売業の具体的な事例をいくつかご紹介いたします。

 

■ 事例①「自動販売機の商品陳列」

棚割りの例としてわかりやすい自動販売機をテーマに事例をご紹介いたします。

 


自動販売機は置かれている場所によって最適な品揃えが異なるだけでなく、どのような順番で商品を配置するかによっても売上が大きく異なってきます。また、Aの商品を置くとBの商品の売上が下がってしまう「カニバリゼーション(共食い)」と呼ばれる現象も発生いたします。

そういった特性をふまえた上で、AIによる分析を実施し、ある自動販売機で品揃えや棚割りに分析結果を活用し、1カ月間の実証実験を行った結果、売上は2.8%も上昇したという結果が出ています。棚割業務においては、AIの活用はすでに実用化できる段階になっていると考えます。

 

事例②「来店客数の予測」

店舗への来店客数をAIで推測した事例を次にご紹介いたします。

 


実験を行った店舗では、蓄積したさまざまなデータをAIで分析して来店客数を予測し、店長の予測と的中率を競いました。翌日の来店客数を予測する実験を5カ月にわたって続けたところ、97%の確率で『AIが店長に勝利』しました。

この結果から、ディープランニングなどの最新のAI技術を活用すれば、高い精度で来店客数を予測できることがわかります。来店客数を正確に推測できれば、小売業の課題となっている廃棄ロスを効果的に削減することが可能になります。

 

これからも進化の続くAIが、「小売業の在り方」を変えていく

統計解析などの従来手法である程度精度を向上し、更にAIの活用で精度を向上できている分野、例えば棚割りの最適化や来店客数の予測については、AI活用はすぐにでも実用化できる段階に来ています。

一方で、高度に複雑・さまざまな変動要素が絡み・人間の感性等の定義が難しい要素がある分野でも『AIは今後も大きな進化を遂げる』ことに間違いはありません。つまり、これまでにご紹介してきた事例や業務分野は、AIの劇的な発展に伴って更に拡がる可能性が高く、その効果にも充分期待できると考えています。

例えば、「この商品を“健康志向”の高いお客様が購入するかどうか」を推測するのは、蓄積したビッグデータを分析するだけでは従来不可能でした。しかし、近年では、「健康志向とはなにか」「どういう商品が健康思考なのか」というデータをAIに学習させる「意味付け」も行えるようになってきています。

 


店舗にご来店されるお客様の志向や嗜好を分析し、そうした「センス(感覚)」の領域に関する学習データをAIに「意味付け」すれば、店舗での接客やDMなどの販促活動、レコメンド情報の最適化まで高度化することが今後可能になります。

 

 

おわりに

発展途上にあるAIを更に活用するには、「AIの技術と小売業が一体となった新しいモデル」を作っていかなければならず、そうすることで、小売業は更に発展することが可能な状況であると考えています。

また機会がございましたら、「AIと小売業」について最新の情報を書かさせていただきます。
本日はご高覧いただき、誠にありがとうございました。

 


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竹内 雅則 Masanori Takeuchi

取締役
常務執行役員

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