【小売業のDXシリーズ】小売業のシステム化推進における課題と解決ポイント | 竹内 雅則 | VINXニューリテール・コラム | 株式会社ヴィンクス| 流通小売業向けシステム

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【小売業のDXシリーズ】小売業のシステム化推進における課題と解決ポイント

【小売業のDXシリーズ】小売業のシステム化推進における課題と解決ポイント

はじめに

今回はDXを進める上で欠かすことのできないシステム化がテーマです。小売業のシステム化を推進するにあたっての課題と、それを解決するためのポイントについて解説します。

 

本コラムの動画「小売業のシステム化推進における課題と解決ポイント(小売業のDX 13)」を見る



小売業の情報システム部門が抱える課題とは

 


企業内でシステムの導入や保守を担っている情報システム部門。小売業の企業の情報システム部門から、私たちは以下のようなお悩みをよくお聞きします。

まずは人手不足。情報システム部門の人材が足りないという課題を、多くの企業が抱えています。そして次に、システムの老朽化や複雑化が店舗運営の効率化などを妨げているという問題。そして、特定のベンダーへの依存です。ベンダーの都合や技術力がさまざまな弊害を生んでしまうのです。

こうした課題が重なることで、ITへ投資する予算を効率的に使えていない小売業の情報システム部門が多いのではないかと思われます。

また、第一の課題である情報システム部門の人手不足が徐々に深刻化していることが、データから明らかになっています。

 


このグラフは、小売業の企業に「人手が不足している部門」について調査したアンケート結果です。

これまで人手不足が深刻だったレジ部門や精肉部門、惣菜部門は2019年から2021年にかけて、人手不足の割合が減少してきています。これは、レジのセルフ化やプロセスセンターの増加が要因として挙げられると思います。

そうした中で、情報システム部門の人手が不足している企業は増加しています。DXやシステム化の推進は専門知識を有するメンバーが主体的に進めていく必要があるため、それを担える人材が小売業に十分でないことが推測されます。

 

 

情報システム部門の人材が不足する理由

 


上のグラフは以前の記事でも掲載しましたが、小売業のIT人材が不足する理由をよく理解できるグラフなので再度ご紹介します。

グラフでは、IT人材がIT企業側に在籍しているのか、それともユーザー企業側(事業会社側)にいるのかを示しています。欧米ではユーザー企業にIT人材がいるのに対し、日本においては7割以上がIT企業側にいるようです。

 


次に、IT人材がどのエリアにいるのかを示したグラフです。日本のIT人材が東京に極端に集中していることが示されています。

IT人材がIT企業に集中しているため、小売業の企業がIT人材を確保することが難しくなっています。しかも人材が東京に集中しているとなると、特に地方の小売業においてはIT人材の不足はより深刻なのではないかと思います。

しかし、例え社内にIT人材が不足していても、DXを実現するためにはシステム化の推進は不可欠です。そこで、小売業がシステム化を推進するために考えるべきポイントを2つご紹介したいと思います。

 

 

システム化推進のポイント①「IT投資配分の刷新」

 


基本的な考え方としては、上の図のように現状のシステムを低コストで運用し、DX分野により多くの予算を割り当てていく必要があります。

そこで、現行のシステムのコストをいかに下げるかということが課題になってきます。小売業でコスト削減が進んでいる分野について示したのが下のグラフです。

 


コスト削減を進めている分野としては、主にレジ業務、発注業務、品出しなどが多くなっています。セルフレジや自動発注の仕組み、プロセスセンターなどの導入に投資することで、人員削減や効率化によるコスト削減を実現しているのです。

 

 

システム化推進のポイント②「協調領域と競争領域の明確化」

 


システム化を進める上で大切な考え方の2つ目としてご紹介するのが、協調領域と競争領域についてです。

小売業の中でも、大企業ほど自社の業務の流れに合わせたオリジナルのシステムを開発していることが多いものです。しかし、既存の仕組みをいかに低コストで運営するかという観点で考えた場合には、自社で独自にシステムを構築するのは必ずしも最適な選択とはなりません。

多くの企業で同じようなプロセスを採用しているバックエンド系の業務に関するシステムについては、標準化されたシステムを導入することでコスト削減が可能になります。こうした分野が協調領域です。

一方で、競争領域として考えるべきなのは、お客様との接点になる部分やお客様のニーズによって変化する部分です。競争領域については、なるべくタイムリーにシステムを開発していく必要があります。そのためのひとつの手段としては、システムの内製化が考えられます。

こうして協調領域と競争領域をわけて考えていくことが重要です。そして、協調領域と競争領域を上手に融合させている企業の事例として、トライアルグループ様をご紹介したいと思います。

 


トライアルグループ様はIT業界から小売業に進出した企業のため、自社でシステムの開発体制を有しています。

しかし、すべてのシステムを自社で開発しているわけではなく、マーケティングの領域で広告代理店と合弁会社を設立したり、一般財団法人を設立してさまざまなメーカーと協力したりするなど、先進的な取り組みを進めています。また、AIなどの最先端技術を持つ協業パートナーと組んでオープンイノベーション的に開発を進め、システムと事業を同時に進化させています。

 

 

おわりに

 

今回はシステム化を推進する上での課題と解決方法について考察しました。

今後もDXを進めるための有意義な情報を提供していきますので、ぜひ次回の記事を楽しみにしていただけたらと思います。

 



「小売業のシステム化推進における課題と解決ポイント(小売業のDX 13)」動画を見る



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竹内 雅則 Masanori Takeuchi

取締役
常務執行役員

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