【小売業のDXシリーズ】円安・物価上昇が流通・小売業に与える影響 | 竹内 雅則 | VINXニューリテール・コラム | 株式会社ヴィンクス| 流通小売業向けシステム

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【小売業のDXシリーズ】円安・物価上昇が流通・小売業に与える影響

【小売業のDXシリーズ】円安・物価上昇が流通・小売業に与える影響

はじめに

今回の記事では、急速に進んでいる円安や物価上昇が、小売業にどのような影響を与えるのかを考えていきます。小売業が今後直面するであろう課題やその解決策についてもご紹介しますので、ご拝読いただければ幸いです。

 

本コラムの動画「【小売業のDXシリーズ】円安・物価上昇による流通小売業への影響」を見る



近年の物価の推移

 


こちらのグラフは、2017年から2022年にかけての消費者物価指数の推移を示しています。長期的には緩やかな右肩上がりで推移していた中で、1年ほど前から物価が上がり続けてきており、2022年に入ってからは急上昇していることが見て取れます。また、2020年と比較すると、約2%上昇していることがわかります。私たちが普段の生活で実感している物価の上昇がデータでも示されています。

 


一方で、国内の企業間の物価指数やサービス価格指数がどのように変化しているのかを見ていきたいと思います。上のグラフの指数は、企業同士で売買される物品やサービスの価格変動を示すものです。

まずは青色の物価指数に比べて、オレンジ色のサービス価格指数の上昇が緩やかであることがわかります。そして、物価指数は2020年に比べて2年間で15%も上昇しています。先程の消費者物価指数が2%の上昇だったのに対し、企業間物価指数の上昇幅が大きくなっています。消費者としてみなさんが感じている物価上昇よりも、企業間取り引きの物価のほうがはるかに高騰しているのです。

 

小売業に影響が生じる物価上昇

 


それでは、小売業に影響が出る物価について見ていきたいと思います。上のグラフは、近年の価格変動が大きい輸入品の物価指数を取り上げたものです。

上位から見ていくと、飲料用や飼料用の作物、動物性油脂、砂糖、麦類、豆類などの価格が円安に伴って大きく上昇しています。
 


このグラフは、鉱産物の物価指数の推移を示しています。鉱産物とは、石油・原油・天然ガスや砂利・採石などのこと。みなさんも実感されている通り、原油の価格が大きく上昇していることが、このグラフからもわかります。2020年と比較して、石炭・原油・天然ガスの価格は約70%も高騰しています。

 


これは、輸入品や鉱産物の価格が上がることで、小売業にどのような間接的な影響が出てくるのかを表した図です。

穀物や肥料の価格が上昇しているため、まずは畜産業や農業に影響が生じます。その結果、今後は精肉や青果の価格が上がると予測されます。

また、石油・原油・天然ガスなどの価格が上がると、電気料金が上昇します。家庭用と企業用の電力では、企業用のほうがより上昇幅が大きくなります。工場での生産コストなどに影響が生じ、商品やサービスの価格も値上がりします。さらには、燃料が高くなると漁業にも影響が出て、鮮魚の価格が上がります。

 

日本の小売業が直面する課題と解決策

精肉や青果、鮮魚などの価格が上昇し、冷ケースなどに使用する電気料金も上がるため、店舗運営にかかるコストの増加も避けられません。そうした状況から、小売業は今、非常に厳しい環境に置かれていると言えるのです。

 


こちらのグラフでは企業物価と消費者物価の上昇率を比較しています。

米国では企業物価が10%上昇したのに対して、消費者物価は7.9%上昇しています。企業物価が上がった分の大部分を消費者への販売価格に転嫁できていると言えます。

 

それに対し、中国や日本、ユーロ圏は企業物価の上昇に対して、消費者物価の上昇率が非常に小さいことがわかります。企業物価が上昇した分のほとんどを、消費者への販売価格に転嫁できていません。大企業が多いアメリカでは消費者への価格転嫁がしやすいのに対し、中小企業が多い日本やユーロ圏では消費者への価格転嫁が困難な市場環境なのです。こうした状況下では、日本の小売業の経営はますます難しくなっていきます。

 

こうした小売業が直面する課題の解決方法としては、まずはDXが挙げられます。デジタル技術を駆使して、より効率化・合理化を追求していくことは、小売業においても利益確保につながります。そしてもうひとつ考えられる解決法は、サプライチェーン全体の効率化です。サプライチェーンを改めて見直し、効率的かつ低コストな体制を構築することで、利益を生み出せる構造へと変革できます。

 

円安や物価上昇によって、小売業の経営は難しい局面を迎えようとしています。DXなどによる経営課題の解決などに興味をお持ちでしたら、ぜひヴィンクスまでお問い合わせください。

 

ご拝読ありがとうございました。

 




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竹内 雅則 Masanori Takeuchi

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