VINXニューリテール・コラム
【小売業のDXシリーズ】小売業の動向と消費者行動の変化

小売業がDXを進める上で、まず「小売業全体の動向」についてしっかり把握しておくことが重要です。新型コロナウイルスの影響で人々のライフスタイルが大きく変化した中で、小売業の業態がどういう変化をしてきたのか、消費者の動向はどう変わったのかについて、今回は考察してみたいと思います。
本コラムの動画「小売業の動向について(小売業のDX 09)」を見る
こちらの図は、流通小売業界の各業種・業態における2019年の売上を100%とし、業態別の売上推移をグラフにしたものです。外食が減り、自宅で食事やテレワークをすることが増える中で、スーパーマーケットやドラッグストア・ホームセンターの売上が伸びていることがわかります。一方で百貨店は72.5%となり、消費者が百貨店でお買い物をする機会が大きく減少していることが見て取れます。
次に、好調なスーパーマーケットの中でどのようなカテゴリの商品の売上が伸びているのかをご覧ください。
注目していただきたいのは惣菜です。全ての期間において前年売上を上回っています。このことから、家庭で食事をする人が増えていること、そして、美味しいものを簡単に安くすませたいというニーズが高まっていることがわかると思います。
こちらは家庭用冷凍食品の国内生産額の推移をグラフにしたものですが、2010年から2021年まで右肩上がりで伸びています。冷凍技術が発達して冷凍食品が非常に美味しくなっており、冷凍食品に特化した店舗やECも登場している中で、消費量が年々伸びていることがわかります。
続いて、消費者がどのような商品をECで購入しているかを示した図です。
生活家電や書籍などは従来からECで購入している人が多かった中で、近年はさらにECで購入する人の割合が増えていることがわかります。一方で、食品・飲料や化粧品・医療品などはほとんど変化が見られません。
こうした結果からわかるのは、「従来からECで購入したほうが便利なものについては、環境の整備に伴ってECでの購入率が伸びている」こと、そして、「近所のスーパーマーケットやドラッグストアで購入したほうが便利なものに関しては、ECでの購入がほとんど増えていないこと」の2つです。ECで購入するカテゴリとリアル店舗で購入するカテゴリの『二極化』が進んでいると言えます。
キャッシュレス決済の際に、消費者がどういった決済手段を選択しているのかを示したグラフです。近年はQRコード決済の環境が整ってきたこともあり、QRコードで決済する人の割合が大きく伸びています。
以前の予測では、QRコード決済が増えるに伴ってクレジットカードで決済する人は減少すると考えられていました。しかし実際には、キャッシュレスでお会計を済ませる人の割合全体が増える中で、クレジットカードで決済する人も従来よりさらに増えています。
クレジットカードを含めたキャッシュレス決済全体が伸びているのが昨今の状況です。
これらの消費者意識調査を見ると、みなさんが「オンラインが良い」と感じているものと、「リアルが良い」と感じているものが明確にわかれています。
「オンラインが良い」と感じているは、「役所での申請や手続き」「会議・打ち合わせ」「講演会・セミナー」などです。こういったものは、多くの人がオンラインのほうが便利で好ましいと感じているようです。
一方で、「リアルが良い」と感じているのは、「飲み会・食事会」「友人・知人との付き合い」「観光・サービス」です。
こうした結果は、お買い物の手段だけでなく、普段の生活の仕事や人付き合いにおいても、多くの方がオンラインとリアルを上手く使い分けていることを示しています。
最後に、アフターコロナにおける消費者の生活スタイルがどうなるのかを、アンケート結果から推察してみたいと思います。
上のグラフを見ていただくとわかる通り、全世代において、コロナ禍の中で定着した生活スタイルを継続したいと考える方が5割を超えています。そして、年齢層が高くなるほど、その傾向は強くなっており、60代にいたっては75.8%もの方が現在の生活スタイルを継続したいと回答しました。年齢を重ねるほど生活スタイルを変えるのは大変なので、一度定着したスタイルを継続していきたいと考えているのではないでしょうか。
今回は、小売業全体の動向や消費者の行動の変化を考察してみました。
冒頭でも申し上げましたが、小売業様がDX化を推進するにあたって、「全体の動向や変化」をしっかりとまず把握することが重要です。
私たちヴィンクスは、こうした動向・変化をしっかりと踏まえ、小売業様のDX化をサポートしてまいります。
何か機会がございましたら私たちヴィンクスにご相談いただけましたら幸いです。
この度はご高覧いただき、誠にありがとうございました。
 
